2008年10月8日水曜日

コンテンポラリー・ピアニズム

荻窪開催ではないイベントのお知らせが続いて恐縮ですが、、、
今日は、私が今、心から楽しみにしているピアノリサイタルのお知らせです!
11月29日(土)の公演で、申し込みは10月10日(金)から。もうすぐ!!
場所は立川です。
荻窪から中央線1本ですからね、皆さまもぜひ足をお運びください!!



コンテンポラリー・ピアニズム
-透明で良質のプラスティック-

中村和枝 piano

2008年11月29日[土] 開演14:00(開場13:30)
立川市女性総合センター・アイム1階 アイムホール
□立川市女性総合センター・市民企画活動事業

ピアニスト=作曲家ユニット「clavia-rea」の公演を3年半ぶりに開催する。デビュー以来現代音楽のスペシャリストとして活躍してきたピアニスト中村和枝のレパートリーを中心に、本年第29回入野賞を受賞した金沢市在住の作曲家、成本理香氏の新作も披露される。
ピアニストがなぜクラシックではなく現代音楽を弾くのかという問いは、音楽の現代性・社会性に強く関わっている。中村和枝は音楽で自己を表現するのではなく、自分が音楽を表現する道具でありたいという認識に立っている。新しい作品をクリアに見せ、どんな形にも自在に変化できる「透明で良質のプラスティック」のように。それは今生きている作曲家や音楽家とのコラボレーションを積み重ねてきた結果、中村和枝が悟った現代音楽ピアニストとしての一つのスタンスである。
すべての音楽家にとって共通の「表現」という問題。巷にいわれている「表現者」とはなにか。ここに一つの答えを見いだすことが出来るかも知れない。

■入場無料・要申込
10月10日より受付・定員196名・車椅子席あり
■お申し込み、お問い合せ先

立川市女性総合センター・男女共生係(tel: 042-528-6801) 
■保育あり
1歳以上学齢前・8名程度・要予約 (上記お問い合せ先まで・11月21日締切)

■主催:立川市女性総合センター・男女共生係
■企画・運営:市民団体ウエル
■制作協力:クラヴィアーレア

[中村和枝の人格と演奏]
内容物をクリアに見せ、どんな形にも自在に変化することから『透明で良質のプラスティック』に喩えられる中村和枝の演奏。
作曲家自身にすら意識できない内容物まで明瞭に引き出すため、中村は「自分」の心情を捨て、そして、「素」の心で、「素」の手で演奏を行う。そういうことが可能になるためには、クリティカルな社会意識と、鋭敏な読解力と、高度な演奏技巧と、柔軟な感性が備わっていなければならない。それが中村和枝という人格そのものである。
現代音楽は、権威や自分のためにではなく、誰かのために、同時代を生きる誰かの心の風穴を開けるためにのみ存在する。現代音楽のジェンダー(性別)は女性である。
「自己表現」ではなく「自己消失」を完璧になしえる中村和枝のピアノは、現代音楽に究極の現代性を賦与して響きわたる。
-----------------------小倉千加子(心理学者)

[プログラム]
H.ホリガー■エリス(1961/66)
K.シュトックハウゼン■ピアノ曲V(1954-55)
T.ミュライユ■河口(1972)
山本裕之■月の役割(1999)
G.ペソン■光は我らを支える力を持たない(1994)
成本理香■委嘱新作(2008/世界初演)
塩見允枝子■「フラクタル・フリークス」より第2番「鏡の回廊」(1998)
(解説・山本裕之=作曲家・clavia-rea)
■演奏順・曲目は都合により変更する場合があります。

[プロフィール]
中村和枝(なかむら・かずえ/ピアノ)
三重県出身。武蔵野音楽大学卒業後、JML入野義朗音楽研究所にて研さんを積む。平尾はるな、C.エルフェの各氏に師事。89年第3回日本現代音楽ピアノコンクール優勝後、国内の多くの現代音楽演奏会にソリストとして出演。ヨーロッパにおいても、ワルシャワの秋、ISCM世界音楽の日々、ダルムシュタット夏期国際講習会、ルクセンブルク国際現代音楽週間等の音楽祭で演奏、録音を行っている。93年、スペイン・シッチェス20世紀音楽コンクールで審査員全員一致の推挙により優勝。カタロニア作曲家協会の主催によりバルセロナ、サラマンカの現代音楽週間にてリサイタルを行う。92、94、96年に東京にてリサイタルを開催。97年にはソウル・パンミュージックフェスティバルにて日韓の現代作品によるリサイタルを行う。同時代の作曲家の新作初演、再演を数多く手掛けると共に、オーケストラとの共演、CD録音等意欲的な活動を展開している。ALMレコードよりソロCD "to you from…"をリリース。尚美学園ディプロマコース講師。

山本裕之(やまもと・ひろゆき/作曲)
1967年生まれ、神奈川県出身。1992年東京芸術大学大学院作曲専攻修了。在学中、作曲を近藤讓、松下功の両氏に師事。これまでに第58回日本音楽コンクール第3位(1989)、BMW musica viva作曲賞第3位(ドイツ/1998)、武満徹作曲賞第1位(2002)、第13回芥川作曲賞(2003)などを受賞。作品は国内外の演奏団体により演奏され、またラジオで放送されている。演奏家や演奏団体等からの委嘱を受けて作曲を行っている傍ら、1990年より作曲家集団《TEMPUS NOVUM》に参加、2002年よりピアニスト中村和枝氏とのコラボレーション《claviarea》を開始するなど、様々な活動を展開している。2002年第51回神奈川文化賞未来賞受賞。岩手大学准教授。clavia-rea(クラヴィアーレア)ピアニストと作曲家という19世紀後半以来分業化されてきた関係を新しく見直し、共同体的な活動を営むことを主眼においた、ピアニスト中村和枝と作曲家山本裕之によるユニット。中村はピアニストとしての既存のコンサートスタイルからの脱却をめざし、山本はコンサートの企画そのものを自らの「作品」と位置づける。名前の由来はラテン語のclavis(鍵盤)とarea(プレイグラウンド)を合体させた造語。ピアノという鍵盤楽器を用いて自由自在に遊ぶ、という意味が込められてる。

成本理香(なりもと・りか/作曲)
和歌山市生まれ。愛知県立芸術大学作曲専攻を首席で卒業、同大学院修了。学部卒業に際し桑原賞(県知事賞)受賞。現音作曲新人賞などに入選の後、2008年第29回入野賞受賞。現代音楽演奏グループ「アンサンブルトゥデイ」のメンバーとして1997年よりその解散まで積極的な作曲活動を展開、また「ing Project」代表として、レクチャーやコンサートの企画を行った。作品は、ALM RECORDSやCAFUA RECORDSよりCDがリリース、イタリアのARS PUBLICA社より楽譜が出版されている。作曲を森川隆之、松井昭彦、故・兼田敏、岡坂慶紀、フィリップ・マヌリの各氏に、電子音楽と対位法を寺井尚行氏に師事。近年は作曲活動の他に、師である兼田敏の作品研究の論文執筆にも力を注いでいる。金城学院大学講師。


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